きくらげの秘密をもっと知る あの日の知恵袋

きくらげの歴史や由来とは?実は日本発祥の食べ物ではない!

皆さんこんにちは!
埼玉県で育った純国産きくらげをお届けする「あの日のはごたえ」代表、タクシーきくらげおじさんこと清水雄一郎です。

中華料理の炒め物や、春雨サラダなどの脇役として欠かせないのが「きくらげ」です。
コリコリした食感とメイン料理の味を邪魔しないといった、良い意味でクセのない食材だと言えます。
そこまで主張の少ないきくらげですが、実は古くから食用・薬用に利用されていた食材で有名です。
今回は、知られざるきくらげの歴史や由来をご紹介いたします。

きくらげってどんなもの?

「きくらげ」という名前や茶色くプリッとした見た目から、「きくらげは海藻なのか?それとも山菜なのか?」と考える人も多いのではないでしょうか。
実は、きくらげは「菌類」としてジャンル分けされています。

干したクラゲに味が似ていることから、樹木に生えるクラゲという意味で「きくらげ」と名付けられました。
しかし、きくらげ自体は海藻や山菜ではなく、キクラゲ科キクラゲ属のキノコの一種です。
前から勘違いされやすいのですが、シイタケやシメジといったキノコの仲間になります。

きくらげの歴史は深い!食用と薬用で利用されていた

自然界のきくらげは、ケヤキやニワトコ、クワ、グミ、ニレなど、広葉樹の枯れ木や倒木に群生し、その存在は世界中で確認されています。
しかし、古くから食用としてきくらげを利用してきた日本や中国、韓国などのアジア圏とは違い、欧米などでは最近まで食用としての利用はされていませんでした。

欧米は薬用としての利用が基本だった

欧米できくらげは、薬草学者によって目の炎症を治療するための湿布剤や、喉の問題の緩和剤といった薬用菌として利用されてきた歴史があります。

植物学者であり医師のカロルス・クルシウスは、1601年に彼の著書で「喉の痛みを緩和するために利用できる」と述べていました。
また、イギリスの薬草学者ジョン・ジェラルドは、1957年に執筆した本のなかで「きくらげの子実体を牛乳で煮る」、「ビールに浸したままにして作った液体エキスを喉の痛みを治すために飲む」ことをすすめています。
このように、きくらげは食用として見なされていませんでした。

 中国では食用かつ薬用としても利用されていた

一方、中国ではきくらげは食用として古くから愛用されています。
世界農学史上、最も早い農業専門書と呼ばれる6世紀の『斉民要術(せいみんようじゅつ)』には、きくらげの料理法がすでに記されていました。
『斉民要術』は、532年から549年頃にかけて成立したと考えられており、実に1500年以上にわたって、食べられてきた食材であることがわかります。

ほかにも、中国には古くから漢方薬や薬膳といった医食同源(いしょくどうげん)の考え方があります。
医食同源とは「病気の治療も日常の食事もどちらも健康には欠かせず、源は同じである」という考え方です。                      

きくらげには止血作用や血液を整える作用があると考えられていたため、貧血や女性の不整出血、便秘解消などの薬用としても用いられてきた歴史があります。
つまり、きくらげは中国のなかで、健康になるための食材という位置づけになっています。

きくらげが日本に入ってきたのは平安時代

きくらげは日本でも炒め物や酢の物、ラーメンの具として親しまれ、身近な食材です。
しかし、きくらげは日本発祥ではなく、中国から伝わったものだと言われています。

平安時代中期に編纂された『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』という漢和辞書にきくらげの記載が残されており、その後も、さまざまな文献などにきくらげについての記載が残っていました。

このことから分かる通り、きくらげは中国から日本へ渡来して1000年以上の歴史があります。きくらげは日本発祥ではありませんが、日本でも古くから愛されてきた食材なのです。

きくらげの由来は実は耳だった

きくらげは「Auricularia auricula-judae」または「 Jew’s ear(ユダの耳)」と呼ばれています。

ユダの耳と呼ばれる理由については諸説ありますが

  •  見た目が耳のようであるから
  •   きくらげはイスカリオテのユダがイエス・キリストを裏切った後に首を吊ったニワトコの木に生えるから

という2つの理由が有力とされています。

きくらげは黒くクシュっとした見た目から「耳」のような形が印象的です。
そして、その様子から日本でも「木耳」という漢字が使われるようになったとも言われています。
きくらげの由来は海外や日本においても、その見た目から「耳」の印象が強いですね。

国産きくらげは実は少ない?『菌活ブーム』で生産拡大中!

天然のきくらげは広葉樹の枯れ木などに生えますが、数が非常に少ないため、人工栽培が一般的です。
くわえて国内栽培が少なく、日本で消費されているきくらげのほとんどが、中国からの輸入品となっています。

しかし、日本でも「菌類を食べて健康になろう!」といった『菌活ブーム』により、きくらげの栽培が拡大しています。
なかでも、岐阜県・熊本県・茨城県において収穫量が多く、さまざまな品質の高いきくらげが一般にも流通されるようになりました。国産のきくらげは栄養価が高く、健康促進に役立つ食材です。
食物繊維やビタミンD、鉄など、現代人に必要な栄養素を含んでいます。

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